自称「北海道のキングオブビートダウン」こと山本。
インタビューを申し込んだ所、快くOKして頂いたので
その内容をご紹介したい。



Q 日本選手権予選に続き、2タイトル目おめでとうございます。
  Final予選はどうだったんでしょうか?

山本「Final予選は黒緑で3-3dropでした。
ずっと黒緑を調整していたのですが、《ボガーダンのヘルカイト》
が強すぎて、《溶鉄の災難》も強かったので緑赤に変更した所
とてもメタに合っていると感じたのでこれを今回は使いました。」

Q デッキの選択についてもう少し詳しく教えて下さい。

山本「とりあえず《タルモ》と《ガラク》は使いたかったので。
で、さっきも言った通り赤を組み合わせてみたら強かった、と。」

Q 対戦相手のデッキは読んだメタどおりでしたか?

山本「そうですね。ビートダウンが多かったので勝てました。
ただ、白コン(砂の殉教者)は相性最悪だったのですが、
《溶鉄の災難》のおかげでなんとか勝てて助かりましたね。」

Q 今日印象に残った事はなんでしたか?

山本「今日はプレイミスが多くて。デッキパワーに助けられました。
自分はまだまだですね。
それとやっぱり朝5時までやった麻雀調整の成果ですよね。
マジックのためにまた麻雀は割と大負けしてきましたが、
厄払いはやっぱり大事ですよ!」
ヤマモト サトシ vs ナカノ ハジメ

54名の参加者の頂点を争う試合は、
奇しくもGR BigManaのスタンダード版というべき
同系対決となった。

G1
先攻は山本。
4枚の土地とガラクタルモボガヘルというラインナップを
キープした山本は、2Tタルモ、4Tガラクからビースト生産と
まずまずの動き。
対する中野は《明日への探索/Search for Tomorrow》待機、
《明日への探索》2枚目待機、《獣群の呼び声/Call of the Herd》、
から《ガラク》を対消滅と、順調に場を進める。

山本も全く引かず、5T《幽体の魔力/Spectral Force》を召喚、
これにも中野は即座に《幽体の魔力》の鏡打ちで答える。
流石に決勝、プレイヤーもデッキも強く、一進一退の好ゲームが期待される。

・・・、はずだったのだが、《幽体の魔力》が相打ちした後に
山本が2枚目の《幽体の魔力》をプレイグラウンドに送り出すと、
中野はこれに対処する事が出来ず、0/1だったはずの《タルモゴイフ》も
本領を遺憾なく発揮しだしてしまい、まずは山本が先取。

G2
「負け先」は中野。

2ゲーム目はお互いのプレイヤーがサイドボードに積んでいる
同系メタのソーサリーが、先手ゲーで勝負を決める事になった。

そのカードとは、《ムウォンヴーリーの酸苔》。
4T、5Tにこれを連打した中野は、《根の壁》を2枚プレイした
山本のたった2枚しかない土地を完全に破壊しつくし、
《樹上の村》と《タルモゴイフ》、〆には《ボガーダンのヘルカイト》。
本体に5点。

まさにワンサイドゲーム。
そして山本の初手には勿論《酸苔》がうらめしそうに。


G3
マジックプレイヤーの間でまことしやかに流れる噂がある。
通称「マジックの闇」。
これに飲まれたプレイヤーはどんなにメタに合ったデッキを
トーナメントに持ち込んでも、必ず地雷を踏んでドロップし、
2マリ3マリは当たり前、相手はトップデックしまくる、
という恐ろしい物だそうだ。

今回、その闇に飲まれたのは・・・。
中野だった。

ここへきて痛恨のダブルマリガンをすることになった中野は
5,6Tに連続で《ガラク》に助けを求めるものの、
山本のクリーチャー達のアタックによって《ガラク》は退場してしまう。

その過程で《タルモゴイフ》を失ってしまう山本だが、
《樹上の村》*3、更に2枚目の《タルモゴイフ》で攻め立て
とどめとばかりに《デッドウッドのツリーフォーク》。
勿論回収するのは環境を代表するあのカード。
《タルモゴイフ》。

最後の抵抗として《活力》をプレイしてみる中野だったが、
多勢に無勢、フルアタックの前に力尽きたのだった。
#3戦目、実際の試合と記事に違いがあるとのご指摘を受けましたので
#一部訂正させて頂きました。ありがとうございます。
#なにかありましたらどんどんツッコミ宜しくお願いします。

決勝戦  竹内vs木村

「デッキよえぇ〜〜!!」
プレミアイベントで着実に上位入賞を果たしている木村。
「カズ」のHNで書いているダイアリーノートの大会レポを見た事がある方もいるだろう。
とはいえ、先の日本選手権予選でもあと一歩の所で権利を逃し、
PTQ神戸でも準決勝で涙を飲んでいる。
技術には定評のある木村、自身のBlogに優勝レポートを書きたいものだ。
デッキは赤黒スリヴァー。二段攻撃、+2/+0が2体ずつなのはいいのだが、
除去もそれ以外の生物も細いのが難点。

竹内はプロツアー参加権への執着はあまりないようで、
「トスしてもいいよ?」と持ちかけてはみるが、具体的な交渉までには至らず。
パックのスプリットも無しのガチデュエルが始まった。

1戦目
ダイスロールで勝ったのは竹内。
《地盤の悪鬼/Tectonic Fiend》《モグの戦争司令官/Mogg War Marshal》で攻める木村。
たまらず竹内は《水深の予見者/Fathom Seer》を素で召還してブロッカーに。
山2枚でストップしてしまったこともあってこれでピタリと木村の攻勢は止まってしまう。
続くターンになんとか《沼》を引き当て、《ファイレクシアのトーテム像/Phyrexian Totem》
⇒《肥満死体/Corpulent Corpse》待機へと繋ぐ。
竹内は《城の猛禽/Castle Raptors》《雲を追うケストレル/Cloudchaser Kestrel》変異召還と
立て続けに戦力に厚みを加え、6マナに到達した木村の《Fury Sliver/憤怒スリヴァー》
も《裂け目翼の雲間を泳ぐもの/Riftwing Cloudskate》でバウンスと完璧な展開。
最後は《補強/Fortify》が木村のライフを削りきった。

竹内 1-0 木村

2戦目
先行の木村は5枚の土地と《稲妻の斧/Lightning Axe》《ワイルドファイアの密使》
というハンドをしぶしぶキープ。
竹内はマリガン。
マリガン後のハンドは満足のできるものだったようだ。

手札がいまいちの木村のファーストアクションは4ターン目の《密使》。
しかしこの《密使》がゲームを決める事になる。
1ターン目に《祖先の幻視/Ancestral Vision》待機、3ターン目に変異(《予見者》)
と繋いだ竹内は土地が3枚でストップ。
《予見者》の【《噴出/Gush》】効果で土地を引き込むものの、代償として展開が遅れて
しまうのはしょうがない。《コーの先導/Outrider en-Kor》の変異(《海蛇》)《ケストレル》
を召還して守りを固めようとする。

《早すぎる埋葬/Premature Burial》で《コーの先導》、《稲妻の斧》で変異を除去した
木村は、《密使》でのビートダウンを慣行。《基底スリヴァー/Basal Sliver》を加える。
ただでさえ白いクリーチャーの多い竹内のデッキ。
《密使》を《応じ返し/Snapback》して瞬速で呼び出した《歪んだ爪の変成者》2体で
のハードパンチでダメージレースに勝利できる計算だ。
2マナ起きている木村に対して3/1が2体で攻撃する。

ここに突き刺さるのは《基底スリヴァー》を生贄に捧げての《硫黄破/Sulfurous Blast》。
まっさらになった場に《城の猛禽》を加えてターンエンド。
《鉄爪のノスリ乗り/Ironclaw Buzzardiers》と《密使》の木村、
《城の猛禽》に《ちらつくスピリット/Flickering Spirit》を加えた竹内。
このタイトなダメージレースを製したのは・・・・・、木村。

《密使》のパンプ能力とプロテクション白が勝利を木村に勝利を運んできた対戦であった。

竹内 1-1 木村

3戦目
先行の竹内は2ターン目《裂け目翼の雲間を泳ぐもの》3ターン目《遍歴の宿命語り》
と展開するもののまたも土地が2枚でストップ。
《宿命語り》を《衰弱/Weakness》で即座に除去し、《鉄爪のノスリ乗り》が飛行を得て
殴るが、こちらも追加のアタッカーは召還できない。
《珊瑚のペテン師/Coral Trickster》を素で召還した竹内は続くターンに
《泳ぐもの》の待機が解除、《ノスリ》をバウンスしながら《ペテン師》と共に攻撃し、
4点のダメージを与え、引いてきた《コー追われの物あさり/Looter il-Kor》をプレイ。
これが生き残って土地を伸ばしていく事に成功する。
次のターンにも3体で攻撃、5点のダメージ。
「《硫黄破/Sulfurous Blast》怖ぇなー」といいつつ変異を追加。

はい、《硫黄破/Sulfurous Blast》。

竹内の4体のクリーチャーが墓地へ。
木村は温存していた《モグの戦争司令官/Mogg War Marshal》を召還、
続くターンには先ほど戻された《ノスリ》と《双頭スリヴァー/Two-Headed Sliver》を追加して
コツコツと竹内にダメージを重ねていく。
さらに2枚目の《司令官》と《地盤の悪鬼》も追加し、変異2体召還、《祖先の幻視》待機
(「これ引けるまで生きてるのかなー?」)の竹内へ数を生かしてのアタック。
竹内のライフは残り4となりすでに危険水域だ。
しかしここからの竹内の粘りは物凄かった。
一旦場を整理しよう。

竹内 ライフ4
変異 変異
《祖先の幻視》待機

木村 ライフ8
1/1ゴブリントークン 《司令官》
《双頭スリヴァー》 《ノスリ》 《地盤の悪鬼》

ここで木村は当然フルアタック。
すると竹内の変異1号が《巣立つ大口獣》に変異して《ノスリ》を
ブロックしつつ《スリヴァー》へと1点を飛ばす。
変異で《悪鬼》をブロックして1/1が2体スルー。
2点食らって残りライフは2点だ。木村がこのまま押し切るのか・・・。と思われたが。

竹内のハンドからプレイされたのは《補強》だった。
死ぬはずだった2体は生き残り、木村は1/1が2体残るのみ。
続くターン、変異が攻撃して2点。これが《予見者》で表返って2ドロー。
《時間の渦/Temporal Eddy》を木村の《山》に打ち、木村の手を止める。
エンドにティムで木村の残りは5。
木村は引かされた山を置いてエンドするしかない。
次のターン1/3《予見者》で攻撃、これは《司令官》でブロックされてトークンが出る。
さらに2枚目の《時間の渦》で山を戻されると「うーわー!!」と思わず悲鳴が上がる。
また山を置いてエンドな木村。ティムで1点食らって残りは4。

ここで《祖先の幻視》の待機が解除。
プレイされたカードは・・・。
《城の猛禽/Castle Raptors》だった。
木村は祈りながらドローするが、カードを一瞥すると敗北を認めた。

決勝戦らしい一進一退の好デュエルだった。
「この環境、すげー練習したもんなー」と、仲間と話す竹内。
やはり練習無くしては結果はついてこないのだろう。
これからの活躍に期待したい。

#訂正、苦情、感想等はtarekumaあっとhotmail.comまでお願いします。
まじっ九印に載るまでの暫定公開。
こんなとこ見る人もいないだろうから道民向けで。
まじっ九印向けに改行したので、多少見づらいのはご容赦を。
あちらに載せて頂いたらこっちは消す予定です。


PTQジュネーブ-札幌 決勝トーナメント観戦レポ    

初雪、しかもあられ吹雪の中、参加者24名で行われた今大会。
”日本一抜けやすい”PTQなどと揶揄される事も多いここ北海道でのPTQだが、
PT、GPなどワールドクラスでの大会で結果を残した者達もいないわけではない。
予選ラウンドからニューフェイスの活躍が目立った今回、新たな歴史を作る権利を
まず得る事ができるのは、果たして誰になるのだろうか。

準決勝 竹内vs山田

竹内はここ最近プレミアイベントに精力的に参加しているプレイヤーで、
以前お伝えしたPTQプラハ予選で決勝に残った世羅と同じチームのメンバー。
「オーバーラン」は本日定例会だそうで、決勝に残った竹内以外のメンバーは
皆そっちへ向かったようだ。 「裏切られた!!」と叫ぶ竹内。
ちなみに会場に1人残った世羅もサイドイベントのブースタードラフトに夢中。

対する山田は大仏様を思わせる優しい笑顔の巨漢。
プレイスタイルも冷静、慎重そのものだ。
本人曰く、「最近全然勝ってないんですよー。」だそうだが、
ベスト4まで来たとなれば勝ちきりたい所だろう。
予選のシールドでも竹内と対戦し、見事に勝利を収めている。

デッキは竹内が青白フライングビート。《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron》こそ無い
ものの非常に充実した航空部隊を3枚のバウンスが後押しする強力なデッキ。
山田は黒単タッチ赤の除去デッキ、【ヤマディアンブラック】だ。
2枚の《絞殺の煤/Strangling Soot》のほかにも山のように除去が積まれ、
最後には《センギアの吸血魔/Sengir Nosferatu》が控える。

双方ともにデッキの完成度はかなり高いように見える。
白熱した1戦が期待できそうだ。

1戦目
先行は山田。
2ターン目に《死胞子のサリッド/Deathspore Thallid》、4ターン目には《吸血スリヴァー/
Vampiric Sliver》という立ち上がり。
竹内は3ターン目変異、4ターン目は土地を置いてエンド。
変異(《水深の予見者/Fathom Seer》)は即座に《絞殺の煤/Strangling Soot》で除去。
《死胞子》でトークンを生み出した山田はここで《スリヴァー》《死胞子》《トークン》で攻撃。
竹内は《歪んだ爪の変成者/Crookclaw Transmuter》を召還してみるものの、-1/-1で
打ち落とされてしまい、4点のダメージを受ける。返しのターン、竹内は
《ちらつくスピリット/Flickering Spirit》を召還、《祖先の幻視/Ancestral Vision》を待機。

山田は続けて《スリヴァー》で攻撃して3点、《卑屈な騎士/Skulking Knight》を加える。
竹内は《コーの先導/Outrider en-Kor》を追加するも戦線が心もとない。
ここぞとばかりに《スリヴァー》《騎士》で攻撃を続行する山田だが、これには竹内の
《補強/Fortify》+0/+2モードが飛んできて、《スピリット》《コー》にブロックされた
《スリヴァー》は墓地へ。
ここで放たれたのはなんと《不吉の月/Bad Moon》!
一回りサイズの大きくなったトークンやクリーチャーを抑えきれない竹内。
2枚目の《変成者》で《騎士》を除去、《魂の因縁/Spirit Loop》を《変成者》に付けて
逆転を計ろうとするが、あえなく《稲妻の斧/Lightning Axe》で除去され、
2枚目の《煤》、《萎縮した卑劣漢/Withered Wretch》、極めつけに
《センギアの吸血魔/Sengir Nosferatu》と連打されてはどうにもならない。

序盤の攻めから綺麗に押し切った山田がまず1本。
竹内  0-1 山田

2戦目
先行竹内は秒でキープ。山田はテイクマリガン。
ファーストアクションは3ターン目竹内の変異(《流水の海蛇/Slipstream Serpent》)。
しかしまたもや《絞殺の煤/Strangling Soot》で除去される。
これには苦い顔の竹内。
《トゲ尾の仔ドレイク/Spiketail Drakeling》でお伺いを立ててみるも、これには
《フォライアスのトーテム像/Foriysian Totem》⇒《ぶどう弾/Grapeshot》。
赤黒の本領発揮、かと思われたのだが、手札が土地ばかりの山田は
《トーテム像》でアタックを続けることしかできない。
《変成者》《嵐雲のジン/Stormcloud Djinn》とのノーガードの殴り合いは
さすがに分が悪すぎた。《補強》で11点食らった山田は次に勝負を賭ける。

竹内 1-1 山田

3戦目
山田はまずまずのハンドをキープ。
竹内も一瞬悩んでキープ。しかし内容は土地6枚と《流水の海蛇/Slipstream Serpent》!
さすがにここはマリガンだと思うのだが・・・。

しかしここは準決勝。運に見放されては辿り着けない場所だ。
ここからの竹内のプレイを順を追って見て見よう。

2ターン 《遍歴の宿命語り/Errant Doomsayers》召還
3ターン 変異(《《流水の海蛇/Slipstream Serpent》》)召還
4ターン 《祖先の幻視/Ancestral Vision》待機
5ターン 《留置呪文/Detainment Spell》(対象は《卑屈な騎士/Skulking Knight》)
6ターン 変異(《珊瑚のペテン師/Coral Trickster》)召還

ムダヅモなし。

山田の展開も悪くない。
《不吉な月》《卑屈な騎士》《虹色のレンズ/Prismatic Lens》
《フォライアスのトーテム像/Foriysian Totem》と繋ぎ、5ターン目には
素打ちの《精神攪乱/Mindstab》をプレイする。
竹内の4枚のハンドから落ちるのは一体何だろうか!?

答え:土地3枚
ちなみに最後の1枚も土地。

ライブラリの上からは《雲を追うケストレル/Cloudchaser Kestrel》、続いて
《城の猛禽/Castle Raptors》《トゲ尾の仔ドレイク/Spiketail Drakeling》。

《吸血スリヴァー》《フォライアスのトーテム像》での殴り合いに活路を見出そうとする
山田だが、次々沸いてくる飛行クリーチャー達にリベンジを果たされたのだった。

竹内 2-1 山田